医療看護研究会誌 第12巻1号
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阿久澤優佳:女性生殖器良性疾患術前患者におけるアロマセラピー介入効果の検討14Ⅰ.はじめに 婦人科疾患による入院は、女性の罹患する疾患の中でも入院や手術による緊張・不安のみならず、生殖器を失う事による喪失感や配偶者やパートナーとの関係の変化といった、他の疾患では伴いにくい感情が出現するとされている。婦人科入院患者の抑うつ・不安感情を、良性と悪性それぞれの術前と化学療法前の3群間に分け比較したところ不安感情はそれぞれに有意差を認めず、対照群の健常女性に比べて有意に高値を示しており、いずれの疾患でも不安に対する介入が必要である事が報告されている1)。 術前患者の不安や緊張、喪失感の緩和を目的に、看護師は術前訪問2)や補完代替療法3)を実施し、このうち看護者が臨床で実践している補完代替療法は50種類が抽出され、うち最も利用されていた療法がアロマセラピーであった4)。医学中央雑誌webを用いてアロマセラピーに関する文献を調査すると、2000年から2004年までに発表されている研究論文数は755件であるのに対し、2010年から2014年までは1,417件とここ10年の間で急増しており注目の高さがうかがえる。 アロマセラピーとは、植物から抽出された天然の精油(以下、エッセンシャルオイル)の芳香成分がもつ薬理作用を利用し、人間が本来もっている自然治癒力女性生殖器良性疾患術前患者におけるアロマセラピー介入効果の検討The Eectiveness of Aromatherapy Interventions in Preoperative Patients with Benign Gynecological Diseases阿久澤 優 佳1)   高 谷 真由美1)   青 木 きよ子2)AKUZAWA YuukaTAKAYA MayumiAOKI Kiyoko要 旨目的:本研究は女性生殖器良性疾患の術前患者へ、手術前日に看護介入としてアロマセラピーを導入することによる生理的・心理的側面への効果の検討を目的とした。方法:オレンジスイートのエッセンシャルオイルをタッチング用に希釈し使用したMテクニックⓇによる介入群(以下EM群)、キャリアオイルのみを使用したMテクニックⓇによる介入群(以下M群)、普段の看護を行うコントロール群(以下C群)の各10名、計30名に介入を行い、介入前後の唾液アミラーゼ、血圧、心拍数、POMSを測定し評価した。結果:生理的指標とした血圧と心拍数、唾液アミラーゼにおいて各群介入前後での統計的有意差はなかった。唾液アミラーゼの値を既存のストレス度合いの指標に当てはめ比較したところ3群間に差を示した。心理的指標としたPOMSでは、疲労の項目においてEM群がC群と比較し減少傾向を示した。考察:生理的指標よりMテクニックⓇによる介入は安全に実施できることが明らかとなった。また、EM群の介入は、患者の疲労感やストレスの軽減に効果を示す傾向にあり、臨床で実行可能な時間配分であることから、女性生殖器良性疾患の手術前日のケアに導入する意義があると示唆された。  キーワード:アロマセラピー、女性生殖器良性疾患、術前看護、タッチング   Key words:aromatherapy, benign gynecological diseases, preoperative nursing, touching原  著順天堂大学医療看護学部 医療看護研究16P.14−25(2015)1)順天堂大学医療看護学部Faculty of Health Care and Nursing, Juntendo University2)順天堂大学大学院医療看護学研究科Graduate School of Health Care and Nursing, Juntendo University(May. 8, 2015 原稿受付)(August. 3, 2015 原稿受領)

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