医療看護研究会誌 第12巻1号
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順天堂大学医療看護学部 医療看護研究 第12巻1号(2015)21化の傾向を以下に述べる。1) 緊張−不安 緊張−不安の値は介入後各群ともに減少傾向がみられた。3群の中ではEM、M群で減少傾向にあるのに対してC群はほとんど変化がみられなかった。2) 抑うつ−落ち込み 抑うつ−落ち込みの値は介入後各群ともに減少傾向がみられており、3群の中ではEM群が最も変化しており、M群C群はEM群に比べ変化は乏しかった。3) 怒り−敵意 怒り−敵意の値は介入後各群ともに減少傾向がみられており、3群の中ではEM群、M群で変化がみられているのに対してC群の変化が乏しかった。4) 活気 活気の値は介入後各群ともにわずかずつ増加傾向がみられた。5) 疲労 疲労の値は各群で介入後減少傾向がみられた。一元配置分散分析で統計的有意差を認めなかったが、その後のクラスカル・ウォリスの検定において、EM群−C群の間に有意差を認めた(p<.05)。3群のなかではEM群が最も変化し、C群において変化が乏しかった。6) 混乱 混乱の値はすべての群で介入後わずかながら減少傾向がみられた。3群のなかではEM群が最も変化し、C群に変化がみられなかった。Ⅴ.考察1.介入による生理的側面への効果について 本研究では、血圧や心拍数の介入前後において各群での統計的有意差はなく、増減の大きな変化もみられなかった。このことから、本研究のどの介入方法においても対象者の血圧および心拍数へは大きな影響を与えることなく、安全に介入することが出来るということが明らかとなった。 唾液アミラーゼは各群の介入前後において測定値による統計的処理で有意差は認めなかった。しかし、唾液アミラーゼの測定値を既存のストレス度合いを分類する指標に当てはめ増減傾向をみると、介入後に減少した事例が最も多かったのはEM群の5事例であり、他の群での減少例は1例ずつであった。また、減少例の中でも程度が最も変化している群はEM群であったことから、EM群が減少傾向を示していることが示唆された。尚、M群中では変化なしが10例中6例であった。秋本ら30)は、周手術期の患者に対してラベンダー、スイートオレンジ、ラベンダーとスイートオレンジのブレンドオイルいずれかを使用し芳香浴を行ったところ、手術前日から手術2日目までの計4日間いずれも、芳香浴前後で唾液アミラーゼの値は低下し有意差を認め、芳香浴による効果が得られたと述べている。また、毛塚ら31)は、健常成人を対象にオレンジスイートの芳香浴を施し、アロマテラピー介入前後の唾液中アミラーゼ活性を比較すると、唾液中アミラーゼ活性が高い群と中低程度の群、すなわちプレ・ストレスがある群では、アロマテラピーによって唾液中アミラーゼ活性が優意に低下したと述べている。オレンジスイートの香りが唾液アミラーゼに与える効果を検討するうえで、本研究の結果はこれらに矛盾しない。また、オレンジスイートには、オレンジスイートオイルの主要成分であるリモネンに、中枢神経抑制作用があること32)が先行研究により明らかとなっている。佐々木ら33)によると、オレンジオイルの効果を、ストレスアナライザーを用いて測定した研究によると、頭部の測定結果において、介入前後で導電率、静電容量共に有意に減少をしており、オレンジオイルを使用した群においては静電容量において減少傾向を示したとしている。また三宅ら34)は、脳波を用いて入眠促進効果を測定し、オレンジの香りに鎮静作用があると述べている。以上のことから、エッセンシャルオイルを使用することでリラックス効果が得られ、生理的側面へより効果的に働きかけ、ストレスを軽減することができたと推察される。2.介入による心理的側面への効果について POMSの各項目の介入群別増減傾向をみてみると、緊張−不安と怒り−敵意では、C群の介入前後での変化が乏しいのに対し、EM群とM群間ともに減少傾向を示していたが、3群間での有意差は認めなかった。緊張−不安の項目得点の増加は、もっとリラックスすべきということを示している24)。本研究では減少傾向を示していることから、リラックスする傾向にあることが示唆された。鳥居35)は、手をなでるとか足をなでるということは、心を通じさせる方法であるとしている。また、受精卵の分裂の経過のなかで皮膚や粘膜になる一部分が内部へと落ち込み神経管となり、これが皮膚や粘膜になることから、皮膚からの信号は脳に強く影響するとしている。ここからタッチングによる

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