医療看護研究会誌 第12巻1号
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阿久澤優佳:女性生殖器良性疾患術前患者におけるアロマセラピー介入効果の検討22心理的影響があることが示唆され、MテクニックⓇにより、緊張や不安、怒りや敵意といった感情を減少させることができると推察される。 抑うつ−落込みと活気、疲労では、疲労の項目でEM群とC群の間に有意差が生じた。統計的有意差を生じなかった抑うつ−落込み、活気で介入群別増減傾向をみてみると、EM群が最も変化がみられており、M群とC群は変化に乏しい傾向がみられた。抑うつ−落込みは自信喪失感を伴った抑うつ感をあらわし、活気は元気さ、躍動感、活力をあらわす。疲労は意欲減退、活力低下をあらわす24)。オレンジスイートは気分を明るく元気にし、不安をとりのぞく23)と言われており、エッセンシャルオイルを使用した介入後の抑うつ−落込みや疲労の減少、活気が上昇したことを裏付けることが出来る。またLehrner Jら36)は、歯科医院の待合室でオレンジの香りを嗅ぐことによって、不安の軽減や気分改善効果がみられたと述べている。これらのことから、オレンジスイートのエッセンシャルオイルを使用することで、抑うつ感や疲労を減少させ、活気を増加させるといった効果を得ることが出来たと示唆される。3.女性生殖器疾患の術前日の患者へのアロマセラピー導入の可能性と意義について 今回は1回の介入につき介入時間は15分間に設定した。臨床での実行可能性を考えると、介入の準備から介入そして片付けの全工程を15分間の中で行えたことから、本研究での介入方法は、臨床で実行可能な時間配分であると示唆される。 大川ら37)によれば、ハンドマッサージの効果を十分に発揮するには、対象者と実施者の心理的距離間も重要な条件とされ、実施者との関係性によって対象者の緊張感を高めてしまう可能性もあるとしている。しかし、今回の介入において、ほぼ初対面での介入でありながらこのような効果がみられたということは事実であり、普段の看護では得られない結果である。現在の医療現場では、入院日数を減少させるため、手術予定の患者は前処置を必要としない限り、前日または当日に入院することが主流となっている。手術や疾患、入院という状況に対して多くの不安や緊張を抱え入院してくる患者は、その気持ちを表出する間もなく、入院オリエンテーションや手術オリエンテーション、麻酔科医や担当医からの説明を受け、何枚にも渡る同意書や書類にサインを行う。そのほとんどがほぼ初対面の医療者により突然に声を掛けられ、緊張の中実施されている。気がつけば手術前日の消灯時間を迎え、眠ることのできない長い夜を過ごすこととなる。その現実を知り、看護師は何とかして可能な解決方法を見いだすために、様々な研究を行ってきている事は先行研究38)−40)からも明らかである。本研究においては、アロマセラピーを使用したMテクニックⓇによる介入が、他の比較した群の中で最も効果的に手術前日の患者の不安や抑うつといった状態を改善出来ている傾向を示していた。したがって、女性生殖器良性疾患の手術前日のケアにアロマセラピーを導入する意義はあり、ケア方法の1つとして有効であることが示唆された。Ⅵ.本研究の限界と今後の課題 本研究では各群10名ずつと少なく統計的な結果に限界があると考えられ、今後介入人数を増やし追加研究を行うこと、統計処理法の再考の必要性があると言える。介入時の個室と多床室の患者の割合についても、データ収集及び統計的処理を実施していないため、より効果的な介入の場について検討するためには今後個室・多床室の割合を含め研究を行う必要性がある。また、使用するエッセンシャルオイルをオレンジスイートの一種類に限定したため、アロマセラピー全体の効果を言及するためには、他のエッセンシャルオイルを使用した際の効果について今後検討していく必要がある。そして、本研究では芳香浴のみとMテクニックⓇ…にエッセンシャルオイルを使用する群との比較はしていない為、エッセンシャルオイルによる効果かエッセンシャルオイルとMテクニックⓇの相乗効果によるものであるか言及するには至らなかった。更には今回の介入時間に関しては15分間であったが、臨床でより使用しやすくする為には、より短時間の介入で効果が得られるのか、介入時間による比較検討を要すると考える。今後これらの問題点に関して明らかにしていくことで、女性生殖器良性疾患の術前患者の看護ケアの更なる充実を図ること、他疾患でのエビデンスを確立し、看護ケアの可能性を拡大していく予定である。謝辞 本研究の行うにあたり、入院当日更には手術前日であるにも関わらず快くご協力してくださいました対象者の患者の皆さま、研究の場をご提供、ご協力いただきました対象病院の医師、看護師の皆様に心から御礼

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