医療看護研究会誌 第12巻1号
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小貫恵理佳:手術を受けた肺がん患者が外来で再発治療を受けながら生きていく体験285)コードを意味内容の類似したもので集め、共通する意味内容を一文で表し、サブカテゴリーとする。6)サブカテゴリーを意味内容の類似したもので集…め、共通する意味内容を一文で表し、カテゴリーとする。 分析結果の信頼性を高めるため、対象者の次回外来受診時に面接内容を確認することとした。2回目の面接前に前回の分析内容を提示して対象者の確認を得た。また、分析過程においては、がん看護ならびに質的研究を熟知した研究者によるスーパービジョンを受けながら実施し、信頼性・妥当性を高めた。5.倫理的配慮 本研究は、順天堂大学大学院医療看護学研究科(承認番号:22-16)および研究協力施設(承認番号:713)の倫理審査委員会の承認を得て実施した。研究対象者の任意性と研究参加への自己決定の遵守、個人情報の保護に留意して研究を進めた。研究の目的、方法、データ管理、研究協力の自由意思、研究参加の利益および不利益とそれに対する配慮、研究の公表方法などを説明し、同意書への署名を得たうえで行った。Ⅴ.結果1.対象者の概要 対象者は 7名で、内訳は男性5名と女性2名であった。対象者の平均年齢は68歳(54~73歳)で、5名は家族と同居しており、2人は仕事をしていた。肺癌と診断されてからの平均経過年数は5.4年(2~15年)で、最初の手術から再発までの平均経過年数は4.4年(1~14年)、再発後に受けた治療は、手術療法2名、化学療法6名、放射線療法3名であり、平均治療回数は、手術療法も含め、5.1回(3~9回)であった。対象者への面接回数は全員2回であり、面接平均時間は 71.8分(49~95分)であった。 2.手術後に再発した肺がん患者が外来で治療を受けながら生きていく体験 全対象者から、外来で肺がんの再発治療を受けながら生きていく体験の意味内容を表す一文は139抽出され、それらは50のコード、21のサブカテゴリーに集約され、最終的に9のカテゴリーに集約された(表1)。 以下、《 》はサブカテゴリー、【 】はカテゴリーを表す。また、「 」はカテゴリーを代表する対象者の語りを示す。 1)【積極的にがんに効くことを実践し自分に合った治療を選択する】 このカテゴリーは、辛い治療に執着したり、主治医だけに任せたりするのではなく自らも主体的に治療法を選択するという体験を示している。このカテゴリーには、《辛い治療を頑張るのではなく生活の質を向上できる治療を選ぶ》、《外来治療を受けながら自らがんに効く事を見つけて試す》の2つのサブカテゴリーが含まれた。「気分転換にラドン浴に行ってそこで出会った人と情報交換をしたり、先生の薬はちゃんと飲む事にしている(対象者B)」2)【より長く生きるための特効薬の開発を願う】 このカテゴリーは、現在の治療では根治が望めないことを理解しながらも、いつか特効薬が開発されるのではないか期待する体験を示している。このカテゴリーには、《現在の治療薬に期待する》、《今後の新薬の開発を願う》の2つのサブカテゴリーが含まれた。「がんは完治しない病気なのでね。薬で転移しないように抑えているけど、いつ転移するかわからないからね。健康な頃に戻れる薬が開発されて欲しいと思います(対象者B)」3)【生涯続く高額な治療費への不安がある】 このカテゴリーは、いつまで続くか解らない治療にかかる高額な費用に対する不安を感じている体験を示している。このカテゴリーには、《この先の医療費負担が大きいことを不安に思う》のサブカテゴリーが含まれた。「手術ではあんまり感じなかったけど、年金暮らしになって抗がん剤やってからね、こんなに高いのかと気づかされましたよ(対象者A)」4)【家族の愛情を再認識する】 このカテゴリーは、肺がんの再発をきっかけに、当たり前に感じていた家族の存在の大切さに気づいた体験を示している。このカテゴリーには、《残していく家族を思いやる》、《家族のありがたさを実感する》、《家族の負担にならない様に配慮する》の3つのサブカテゴリーが含まれた。「どっちかっていうと仕事の方が生きがいだったんですけどね。こういう病気になってみるとやっぱり家族ですかね。最期はやっぱり家族に帰ってくるような感じがしましたね(対象者F)」5)【繰り返される治療生活の中でも他者との繋がりによって闘病意欲を保つ】 このカテゴリーは、治療が効かなくなるたびに次の治療を辞めようと思うこともあるが、家族や友人、職場の同僚、医療者など周囲の人間関係が支えとなり治

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