医療看護研究会誌 第12巻1号
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順天堂大学医療看護学部 医療看護研究 第12巻1号(2015)33考えることができるよう支援する 看護師は、患者が今の自分を受け入れて残りの人生について考えることができるように見守ったり、環境を整えることが重要である。点滴等の際には、患者の価値観や大切にしていることなどについて情報収集し、患者の考え方を尊重して関わることが重要である。本研究の対象者には、「色々一人で考えても暗くなるだけですから。こうやって話をすると気持ちが整理されるものですね。」と自分の思いを他者に語る意義を述べた者もいた。患者が混乱している場合は、患者が自分の考えや思いを表出できるよう関わることが重要である。また対象者は、自分の力で辛い状況を受け入れてどうにかしようと取り組んでいた。そのため、同病者同士が交流できる場を整えることも必要である。 本研究の対象者には、外来通院が唯一の社会とのつながりという者もいた。看護師は、患者と体調のことだけを話すのではなく、患者の生活や人生について話すことも重要である。また、本研究の対象者の中には、治療効果を実感できず気持ちが揺れている者もいた。そのため看護師は、患者が抱える思いや不安を傾聴することが重要である。 また、外来プライマリー制度を導入し、継続的に患者をサポートする体制を構築する必要がある。同じ看護師が継続的に関わることで患者の安心感につながったり、思いを表出しやすくなると考える。Ⅶ.研究の限界と今後の課題 本研究では、対象者数が限られていること、データ収集場所が1か所であったこと、対象者が受けた治療や経過時期が様々であること、対象者の年齢に開きがあり就労している者とそうでない者がいたことから、結果を一般化するには限界があると考える。 今後は、治療法や年齢幅、就労の有無を限定してさらに分析をすることで、より詳細な結果を得ることができると考えられる。今後は今回の研究結果に基づいて介入研究を行い、手術後に再発した肺がん患者が外来で治療を受けながら、その人らしく生きていける外来看護のシステムを整えていく必要がある。謝辞 本研究にご協力いただいた対象者の皆様に心より感謝申し上げます。引用文献1)厚生統計協会編:厚生の指標国民衛生の動向2013, 厚生統計協会, 42-46, 2013. 2)がんの統計編集委員会編集:がんの統計2014年版, …がん振興研究財団, 12-18, 2015. 3)前掲書1) 48-49, 2013. 4)渡辺敦, 宮島正博:呼吸器外科の現状と将来展望 …とくに肺癌の外科治療に関して, 北海道外科雑誌, 特別記念号, 102-105, 2015. 5)日本肺癌学会:EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2014年版, 14-16, 金原出版, 2014. 6)小池輝明, 吉谷克雄, 篠原博彦, 白戸亨:肺がん低侵襲手術としての縮小手術, 新潟がんセンター病院誌, 52(1), 30-33, 2013. 7)松隈治久, 鈴木晴子, 中原理恵:再発治療にて根治が期待できる肺癌術後再発およびその検出方法に関する検討, 日本外科学会雑誌, 114(2), 727, 2013. 8)竹重麻里子, 小池輝明, 大和靖, 吉谷克雄, 佐藤衆一:肺癌完全切除後再発例の検討, 日本外科学会誌, 111(2), 636, 2010. 9)吉井直子, 棚橋雅幸:肺癌術後肺転移・局所再発治療例の検討, 肺癌, 54(5), 567, 2014. 10)小山良, 高橋和久:肺癌の個別化治療, 呼吸と循環 , …62(4), 319-324, 2014.11)福岡正博:肺癌の分子標的薬と個別化治療への新展開, 最新医学, 65(3), 7-11, 2010. 12)堀口さとみ, 山田真規子, 嶋内円, 他:白金製剤を含む化学療法の食に関連した副作用への対処 肺がん患者の体験を通して, 日本看護学会論文集, 成人看護Ⅱ, 39, 185-187, 2009. 13)森一恵, 橋口由起子, 高見沢恵美子, 山口亜希子:周手術期の肺がん患者への術前オリエンテーションプログラムの作成と評価, 大阪府立大学看護学部紀要, 14(1), 25-32, 2008. 14)橋本晴美, 神田清子:治療過程にある進行肺がん患者の症状体験に伴う情緒的反応, 日本看護科学会誌, 31(1), 77-85, 2011.15)高橋弘毅:呼吸器疾患の病態と診断・治療(Ⅲ), 医学と薬学, 64(4), 507-512, 2010.16)Mishel, M.H.:Uncertainty in illness. Image:Journal Of Nursing Scholarship, 20(4), 225-232, 1988.17)濃沼信夫:経口薬によるがん治療の患者負担, 癌と化学療法, 37(1), 1230-1233, 2010.

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