医療看護研究会誌 第12巻1号
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順天堂大学医療看護学部 医療看護研究 第12巻1号(2015)37化した。2)類似する分節を集めてサブカテゴリーとした。3)サブカテゴリーは、類似するもの同士で集め抽象度をあげてカテゴリーとした。4)カテゴリーを関連図に布置し、リカバリー段階を抽出した。 研究者間でデータの精読を行い、分析結果やカテゴリーについては納得できるまで妥当性を検討した。 6.倫理的配慮 研究概要を施設長に対し書面及び口頭で説明し研究協力が得られた後に、利用者にはミーティングでの研究の趣旨説明と書面掲示にて告知を行った。研究対象者は、施設を週に4日以上利用している統合失調症者として、施設長に継続的にリストアップをしていただいた。話を伺う利用者に対しては、個別に研究者が口頭での説明を行い、研究協力の同意が得られた方を研究対象とした。研究の参加は自由意思であり、同意がなくても不利益を被らないことを保証した。尚、本研究は、データ収集前に順天堂大学医療看護学部研究等倫理委員会の承認を得て実施した。Ⅴ.結果 A施設の利用者に対して、研究の趣旨を説明し同意の得られた研究対象者は11名であった。対象者の内訳は、年齢20歳代から60歳代、精神科外来・クリニック通院者11名、精神科入院歴あり8名:入院期間の最も長いケースは6年、入院回数は1回から8回、単身生活者4名、グループホーム利用者3名、家族と同居4名であった(表1)。 斜体は意味内容を、〈 〉はサブカテゴリー、《 》カテゴリー、【 】リカバリー段階とし、表2を作成して記載した。地域で生活する統合失調症者が作業所の利用を通して自分らしさを取り戻していくリカバリーに影響する要因として12のサブカテゴリーから、8つのカテゴリー、3つのリカバリー段階を生成し、図1の関連図を作成した。 カテゴリー1《生きにくさとしての葛藤》、2《主体性の喪失》というリカバリーを阻害する要因から、作業所の利用を通して3《かすかな希望と歩み始め》につながり、リカバリー段階Ⅰとして【エンパワーメントへの初期の方向付け】を生成した。 カテゴリー4《守られた環境》、5《生き方の自由選択》というセルフスティグマを開放していく要因から、6《回復への確かな希望》が持てるようになり、リカバリー段階Ⅱとして【自己決定による新たな生き方の方向付け】を生成した。表1 対象者の属性と概要n=11性別男性 8名  女性 3名年齢20代 2名  30代 4名40代 3名  50代 1名60代 1名 外来通院あ り     11名精神科入院経験あ り     8名な し     3名生活形態単身生活    4名グループホーム 3名家族同居    4名①〈発病による生活能力の低下〉②〈統合失調症に対する世間の目〉③〈統合失調症者というセルフスティグマ〉④〈病気との一体化による安定〉3《かすかな希望と歩み始め》6《回復への確かな希望》⑦〈これまでの生き方に対する気付き〉⑧〈主体的な自己決定〉⑨〈家族との和解〉⑩〈地域社会とのつながり〉Ⅰ【エンパワーメントへの初期の方向付け】Ⅱ【自己決定による新たな生き方の方向付け】Ⅲ【社会の一員としての自覚】⑤〈通じあえる仲間の存在〉⑥〈安心できる居場所〉⑪〈期待されることによる自信〉⑫〈収入を得ることによる満足〉2《主体性の喪失》5《生き方の自由選択》4《守られた環境》8《社会参加の手ごたえ》1《生きにくさとしての葛藤》7《関係性の回復》図1 作業所を利用中の統合失調者のリカバリーに影響する要因の関連図

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