医療看護研究会誌 第12巻1号
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順天堂大学医療看護学部 医療看護研究 第12巻1号(2015)47の養子となる子供の将来を考え、「形に残るものは残さない」という思いと「長女の誕生日を祝いたい」という気持ちの二面性で葛藤していたことがわかった。【考察】終末期看護では患者が家族にどのような思いを抱き葛藤しているのかを把握し、終末期を迎えたことにより生じた変化に対して援助を行う必要がある。患者の様々な思いを引き出すことができ、チームで共有することにより、その人らしい最期の時間を支える看護が行えたと考える。テーマ:訪問看護師が経験するモラルディストレスと対処方法-難病をもつ療養者とその家族介護者への支援の実際から-発表者:○伊藤 隆子*1、小竹久実子、羽場 香織、大園 康文、藁谷 藍子 【目的】本研究の目的は、難病をもつ療養者とその家族介護者へのケア提供の際に、訪問看護師はどのような状況でどのようなモラルディストレスを経験し、対処しているのかを明らかにすることである。【方法】訪問看護の経験5年以上の訪問看護師へ半構成的インタビューを実施した。インタビューは録音し逐語録に起こし、先行研究のモラルディストレスのプロセスに沿って整理した。本研究は所属する大学の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】13名の訪問看護師にインタビューを行った。その中で語りの深い12事例を分析の対象とした。訪問看護師は、専門職の信念や価値観に基づく倫理的/道徳的に適切な行動が必要であるという判断が、様々な要因によって行動が抑制され、「いらだち」「あきらめ」「もどかしさ」「申し訳なさ」「後悔」「憤り」「悲しさ」「悔しさ」「葛藤」「ジレンマ」という苦痛な気持ちと心理的不安定さであるモラルディストレスを経験していた。それらへの対処方法として訪問看護師は、〈引き下がる〉〈自分のケアを承認する〉〈立ち位置を明確にする〉〈チームで方向性の共有と合意を図る〉〈タイミングを待つ〉〈サービス終了後にも直接交流を図る〉という対処を行っていた。【考察】療養者および家族介護者と〈サービス終了後にも直接交流を図る〉いう方略は、新たなコミュニティケアの可能性を示唆するものであると考える。テーマ:臨地実習における看護学生のメタ認知を促進する指導方法発表者:○齋藤 雪絵*1、村中 陽子【目的】看護学生のメタ認知を促進する具体的な指導方法を明らかにすることを目的とした。【方法】研究承諾を得られた3校の大学に勤務する看護教員15名を対象とした。調査内容は、研究者の先行研究より明らかになった看護学生のメタ認知を促進すると考えられる3パターンの指導者の介入場面をもとに、学生への具体的な指導内容と学生の変化について自由記載を求めた。分析は、記述内容の意味を損なわないように留意しコード化し、類似するコードをカテゴリー化した。【倫理的配慮】順天堂大学医療看護学部研究等倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】看護学生のメタ認知を促進する具体的な指導内容は、22のコードから【問いかける】【考えさせる】【思考を整理させる】【振り返らせる】【一緒に考える】【一緒に援助する】【きっかけを作る】の7つのカテゴリーが生成された。学生の変化は、教員の意図に応じた変化の他に【変化しなかった】も挙げられた。【考察】教員は、自己の指導によって学生が自分自身の思考に気づき、客観視することができており、メタ認知を促進していると捉えていた。しかしそれは、メタ認知的モニタリングにとどまっており、メタ認知的コントロールまでには至っていないと考えられる。そのため、学生に対して、実習目標を達成するために自ら予測し、計画を立て自分の進み具合を確認し、修正するという行為を継続的に促す必要性が示唆された。テーマ:フィジカルアセスメントにおけるシミュレーター教材を活用した授業運営の評価−内発的学習動機づけに着目して発表者:○熊谷たまき*1、村中 陽子、寺岡三左子、高梨あさき、鈴木小百合、三宮 有里、…齋藤 雪絵、石井真理子【目的】本年度、3年次前期の開講科目「フィジカルアセスメント」の演習においてHigh Fidelity Patients Simulator (以下、HFPS)を用い、その授業運営に関して学生の学習意欲の側面から評価することを本報告の目的とした。【方法】フィジカルアセスメントの履修者195名に研究の趣旨を説明し、同意が得られた学生に無記名自記式質問票を用いて授業開始時と終了時に調査を実施した。本報告では科目終了時調査133名におけるJ.M. KellerのARCSモデル4要素(注意・関連性・自信・満足)の回答を分析した。なお、本研究は本学部研究等倫理

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