医療看護研究会誌 第12巻1号
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第11回 医療看護研究会発表要旨50への性教育の取り組みなど特徴ある独自の取り組み事例が報告された。テーマ:更年期女性の健康教育プログラムにおける状況因子のアセスメントに関する研究発表者:○高島えり子*1、増田美恵子【目的】更年期症状の背景には様々な要因が重なりあうため、身体的因子のみならず、心理・社会的因子を含めたアプローチが必要とされる。国内での更年期女性を対象とした健康教育の現状は、運動や食事など生活習慣に関する情報提供が中心である。そこで、本研究では、更年期女性のセルフケアに対する多面的アプローチを用いた健康教育プログラムの考案のための基盤となる状況因子のアセスメントツールの知見を得ることを目的とする。【方法】医学中央雑誌Web版ver.5を用いて「更年期女性」「中高年女性」「更年期症状」をキーワードとし2005~2014年の原著論文を検索した。更年期女性の社会的役割、人間関係を含む状況因子のアセスメントに関する論文を73件選択し、研究内容から更年期女性の状況因子に関連したアセスメントについて検討した。【結果・考察】研究方法は実態調査研究、評価研究、事例研究の順で多かった。研究対象は健康な更年期女性以外に、合併症に対する治療をする更年期女性の研究が多くみられた。研究内容は、ライフスタイルと更年期症状との関連を明らかにしたものが多く、社会的役割、人間関係を含む状況因子に触れた研究は10件であった。研究内容より、夫婦関係、社会的役職、出産・母乳育児経験などの因子が更年期症状に影響しており、更年期指数以外に複数の尺度により評価されていた。健康教育プログラム考案の際、それらを加味し状況因子の評価をする必要性が示唆された。テーマ:医療関連感染対策の現状と課題発表者:○池田 恵*1、工藤 綾子、横山 久美、川上 和美、長富恵美子【目的】日本の大学病院と地域医療支援病院のクリティカルケア領域、外科病棟、内科病棟に勤務する看護師の医療関連感染防止の実態(知識・態度)とその規定要因を明らかにすることを目的とした。【方法】大学病院と地域支援病院のクリティカルケア領域、外科病棟、内科病棟に勤務する看護師3,000人(大学1,500人、地域1,500人)を対象に、医療関連感染防止対策の実態調査(知識・技術・態度)を実施した。調査内容は、基本属性およびCDCガイドラインの内容を踏まえて研究協力者とともに独自に作成した。知識得点は正答数、態度、実践は5段階リッカート尺度を用いて点数化し、それぞれ統計学的手法を用いて分析を行った。【結果・考察】調査の結果、正しい知識があっても実践に結びついていないことが明らかになった。また、専任の感染管理担当看護師の存在は態度得点と関連があり、態度が実践に結びつく重要な因子であることから、専任看護師の配置の意義は大きいと考える。さらに、易感染のハイリスク患者を対象とするクリティカルケア領域に所属する看護師の感染対策実施状況は、内科病棟と比べて有意に低かったことから、その原因の究明と対策の必要性が示唆された。テーマ:病原体由来糖鎖構造に対する自然免疫反応の調節発表者:○中山 仁志*1、栗原 秀剛 病原体はそれぞれに特徴的な分子パターン(PAMPs)を発現している。特に細菌は菌体壁に糖鎖から成る様々なPAMPsを発現しており、グラム陰性桿菌ではリポ多糖(LPS)、抗酸菌ではリポアラビノマンナン(LAM)がよく知られている。LPSやLAMは宿主に対して自然免疫反応を誘導することが知られている。この自然免疫応答は、マクロファージや好中球に発現しているCD14、CD11b/CD18、Toll-like receptor4などのパターン認識受容体(PRR)がPAMPsと結合することにより開始される。しかしながら、宿主細胞に発現するスフィンゴ糖脂質が、PAMPsを介した自然免疫応答へどのように関与しているのかについてはよく分かっていない。今回我々は、ヒト好中球におけるラクトシルセラミド(LacCer)とLPS及びLAMとの関係について検討し、新たな知見を得たので報告する。 結核菌由来LAMはLacCerと特異的に結合し、ヒト末梢血由来好中球のSrc family kinase Lynを強くリン酸化した。また、好中球によるLAMコートビーズの貪食はラクトースにより抑制された。好中球をLPS刺激した後、抗LacCer抗体による免疫沈降を試みたところ、Lynが共沈され強くリン酸化された。さらに、このリン酸化は抗CD14抗体で阻害されることが分かった。以上の結果から、ヒト好中球においては、LAMとLPSはいずれも、LacCerと会合しているLynを介して細胞内シグナル伝達経路を活性化することが

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