医療看護研究会誌 第12巻1号
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順天堂大学医療看護学部 医療看護研究 第12巻1号(2015)51示された。テーマ:MRSA保菌者における鼻腔および便中のMRSA解析発表者:○横山 久美*1、上原 由紀、下 泰司、松下 雅史……【目的】NICU入院児は正常細菌叢の形成前にMRSAが腸管に定着・分離することが報告されている。一方、成人ではMRSAが腸管に定着し、便とともに排出されることを明確に示した報告は少ない。そこで、都内の1総合病院の内科病棟に入院し、MRSAを保菌あるいは感染した成人患者7名の鼻腔および便中から分離されたMRSAの解析を行った。【方法】対象患者から得られた鼻腔擦過物および便は抗菌薬含有ブドウ球菌用選択培地に接種し、集落の発育を確認した。グラム染色性およびマンニット分解能や卵黄反応などの表現型からMRSAを一次鑑別するとともに、微量液体希釈法による各種抗菌薬の薬剤感受性試験を実施した。また、ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて、Staphylococcal cassette chromosome mec typingおよびcoagulase typingを行った。【結果および考察】MRSAは5名の鼻腔擦過物、3名の便から検出され、成人においても鼻腔MRSA保菌者では便中にもMRSAが存在する可能性が示唆された。一方、Vancomycinに耐性を示す株は認められなかったものの、その他の抗菌薬では多剤耐性傾向を示した。また発育が遅い株では24時間判定では感受性良好であっても48時間後には耐性を示すことがあり、MRSA感染症においては薬剤感受性の慎重な確認が必要であると考える。テーマ:日本と海外における感染リンクナースの役割と医療関連感染予防への効果に関する文献検討発表者:○川上 和美*1【目的】感染リンクナースシステムは1980年代に英国で導入され、その後、日本や米国でも導入が進められている。本研究では、文献検討により、日本および海外のリンクナースシステムとリンクナースの役割・活動内容を明らかにすること、医療関連感染予防におけるリンクナースシステムの効果を検討することを目的とした。【方法】国内の文献は医学中央雑誌Web版、海外の文献はPubMed、CINAHLを使用し、「感染」、「リンクナース」、“infection control”、“infection preven-tion”、“link nurse”、“liaison nurse”をキーワードに、1980年から2014年までの文献を検索した。【結果】国内文献は157件が検索されたが、多くが解説・報告であり、原著論文は4件であった。看護部にリンクナース会を設置し、感染管理担当者と連携しながら、院内ラウンド、サーベイランス、標準予防策遵守を推進するための活動が行われており、活動におけるリンクナースの意識の評価や活動支援、リンクナースシステムの医療関連感染への効果に関する文献が抽出された。海外文献は、英国、米国、香港の文献が抽出された。英国の文献が多く、リンクナースの役割や獲得すべき能力のフレームワークが示された総説、ガイドラインも含まれた。医療関連感染への効果が検討された文献は3件であった。【考察】国内文献では、病院単位での活動を評価した研究が多いため、リンクナースの役割や活動、医療関連感染への効果に関する国内全体の動向を調査する必要性が示唆された。テーマ:生物学的製剤療法を受ける関節リウマチ患者の特徴と課題発表者:○樋野 恵子*1、青木きよ子、下西 麻美 関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は全身の破壊性関節炎を主体とする炎症性疾患である。いまだ病因や病態に不明な点も多く、完治できる治療法は確立されていない。しかし、2003年に日本において生物学的製剤療法が導入されると、RA治療の目標は臨床的な寛解や疾患活動性の低下を目指せるようになった。本研究は、生物学的製剤療法を受ける関節リウマチ患者の特徴を明らかにし、生物学的製剤療法における現状と課題を検討することを目的とした。首都圏の特定機能病院に通院中の関節リウマチ患者に自記式質問紙調査を実施、158名を分析対象とした。対象者における生物学的製剤使用患者の特徴は、年齢が若い、入院歴のある人が多い、医療・福祉サービスを利用している、ADL自立度が低い、主観的QOLが低いということであった。生物学的製剤療法の導入によりRA患者のADL拡大やQOL向上が期待されているが、患者は長い療養生活において病状進行の影響を受けており、日常生活においては困難を感じ、自己受容できていない現状が明らかとなった。看護者は患者が辿ってきた経過や心情を理解し、身体的困難の緩和を図ること、病とともに生きる自分をありのまま認め前向きな

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