医療看護研究会誌 第12巻1号
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順天堂大学医療看護学部 医療看護研究 第12巻1号(2015)53らうことが困難であり、ストレスを抱えやすいため、症状マネジメントのための療養行動がとりにくいと言われている。膠原病患者が、自らの療養生活における目標を設定し、患者主体の療養生活を確立するためには、医療者との「協働」が欠かせない。そこで、本研究では膠原病患者へのケアを専門とする看護師にとっての「協働」とは何かを明らかにする。看護師の患者との協働に対する認識について、インタビューガイドを用いた半構造的面接調査を行い、得られたデータについて質的帰納的分析を行った。その結果、看護師が患者との協働に関する認識は、患者だけでなく家族も含めて意見を言えることや患者の療養生活のQOLを維持するための方法の1つであるなどが語られた。テーマ:転倒予防対策の種類別の効果の評価に関する研究発表者:○飯島佐知子*1、豊川 智之【目的】転倒予防には多様な種類の対策が組み合わされて実施されており、転倒リスクは患者によって様々であるため、各対策にどの程度の予防効果があるのかは明らかになっていない。本研究は、傾向スコアを用いて転倒リスクを調整し、個々の対策の効果の評価を試みることを目的とした。【方法】IT化した転倒リスクアセスメントツールと連動した標準転倒予防計画を使用している病院で2008年4月~2013年3月末に入院し、リスクアセスメントを実施した患者のデータを分析の対象とした。転倒予防には48種類の対策が組み合わせて実施されていた。分析方法は、転倒の有無を従属変数とし、転倒リスクから算出した傾向スコアと転倒予防対策の有無を独立変数とするロジスティック回帰分析により、転倒防止ケアごとに実施群と未実施群のマッチドサンプリングを行い、オッズ比を算出した。統計パッケージは Stata Var.13.0を用いた。【結果】対象数は61,949件であり、平均年齢 は66.5歳(SD17.4)であった。入院後の転倒は1,167件(1.88%)であった。実施群において転倒予防効果のあった対策は、下剤・利尿剤服用後の排泄介助(オッズ比0.43)、 薬剤の効果を医師に報告し服薬内容を調整 (オッズ比0.56)、家族への説明と付添依頼(オッズ比0 .57)、夜間はより注意してラウンド(オッズ比 0.57)、介助バーつきベッド柵(オッズ比 0.67)であった。テーマ:地域組織化活動に対しての当事者と保健師との認識の差異発表者:○櫻井しのぶ*1、中西(南)唯公、…斉藤 尚子 平成25年度にM県K町にて、地域組織活動グループの住民と行政側である保健師に対して何を必要としているかを明らかにすることを目的として、面接調査を通して、質的帰納的分析を行った。その結果、地域組織活動グループは行政側が自分たちの組織活動に注目しているとは思っておらず、保健師サイドと地域組織活動グループサイドのお互いに対する認識にズレがあったことが判明した。地域組織活動を地域のソーシャルキャピタルとして発展させていくための支援のあり方を検討するには、その差異がどのようなものであるかを明らかにして行く必要がある。 そこで、今年度は、住民6名と保健師6名の両者から、地域組織活動に対する保健師からの支援やその在り方について聞き取り調査を行い、質的帰納的分析により、地域組織活動と行政の関係性に焦点を当ててデータ分析を行った。その結果、地域組織活動を行っている住民サイドでは、より町や地域に貢献するために自らのグループの更なるスキルアップを望んでおり、保健師に求める支援としては、運営やメンバーとしての関わりよりも、スキルアップのためのサポート、例えば、専門的知識の紹介や、研修などの紹介を欲していた。一方で、保健師は地域組織活動グループから運営で関わりを求められているのではとの思いや、地域組織活動は自主的で楽しんでやっているのだから、地域全体のためにという意識があるとは想像しておらず、行政側の地域組織活動に対する期待や目的も曖昧であることが多かった。テーマ:地方都市における在宅での看取りを経験した家族の訪問看護師の役割認識発表者:〇岡本美代子*1、原田 静香、安部 五月【背景】地方都市であるT県は、高齢化率が約37%(平成24年)と全国での超高齢化を牽引している。また、人口10万人あたりの在宅療養支援病院数が、1.25か所(全国平均0.4)と全国1位であり、首都近郊の都市部に比べ在宅支援に関わる病院や診療所の数が充足している地域とされている。さらには訪問看護事業所数も人口10万人あたり10.5か所(全国平均6.8)であり全国2位と多く存在している。しかしながら、T県における在宅での看取りは10%(全国平均12.3%)と低く

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