医療看護研究会誌 第12巻1号
6/82

中澤明子:アクティブラーニングを授業に導入するための支援体制:日本とカナダにおける事例からの検討2めの支援も重要である。 そこで本稿では、大学教育でのアクティブラーニングの導入の中でも学習環境と教授・学習法の二点に着目し、アクティブラーニングの導入・実施支援体制について考察する。具体的には、東京大学とマギル大学(カナダ)の事例を紹介し、比較検討を行って支援内容・体制を提案する。Ⅱ.駒場アクティブラーニングスタジオ(KALS)におけるアクティブラーニング支援1.KALSの概要 本章では東京大学の学習空間である、KALSにおけるアクティブラーニング支援について述べる。KALSは2005年に掲げられた東京大学アクションプランに記載された「理想の教養教育」を追求するために設計されたモデル教室であり、2007年5月に開設された4)。 KALSの特色としては1)スタジオ型の教室と、2)ICTを中心とした豊富な教育ツールがある。KALSは図1のような定員40名のスタジオとウェイティングルーム、スタッフルーム、倉庫、会議室で構成されている。スタジオは144m2と広めに作られており、柔軟な空間構成を行うことが出来る。什器としては、まが玉型のテーブルが採用されており、組み合わせ方を変えることで授業形態に合わせた適切な形状にすることができる。KALSに備えられている教育ツールの一部を紹介する。KALSではICT機器として4面のプロジェクタとスクリーン、1人1台のノートPCとiPad、クリッカーなどを、その他のツールとして、ミニホワイトボードや屏風型の可動式ホワイトボードを備えている。 またKALSを利用する教員はこれらのツールの活用や空間構成に関して、スタッフやTAによるサポートを受けることが出来る。これに関しては次節において詳述する。2.KALSにおけるアクティブラーニングの導入・実施体制 KALSには3名(2014年度までは2名)の教育工学を専門とする専任スタッフがおり、KALSで行われる授業を中心としたアクティブラーニングの支援を行っている。本節ではKALSにおけるアクティブラーニングの導入・実施体制について、授業支援体制とテクニカルTAの育成、アクティブラーニング導入のための活動の2つに分けて概要を述べる。(1) 授業支援体制 KALSにおける授業支援は図2のように1)授業期間前、2)授業期間中に分けられる。 授業期間前には初めてKALSを使用する教員に対する設備の説明と、授業に関する相談や打ち合わせを行っている。スタッフは各科目に関する専門知識を有するわけではないため、授業内容には立ち入らず、空間構成、機材の利用、活動の仕方など教育工学の観点からのアドバイスが行われる。たとえば2014年度に実施された英語科目の場合には、教員から学生のスピーチを録音し持ち帰れるようにしたい、学期末には少人数でのプレゼンテーションを行いたいなどの要望があった。前者に対してスタッフはICレコーダーやPCにヘッドセットを接続しての録音などを提案し、授業期間図1 KALS外観と見取り図図2 KALSにおける支援のフロー

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 6

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です