医療看護研究会誌 第12巻1号
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順天堂大学医療看護学部 医療看護研究 第12巻1号(2015)61卒後2年目看護師の有能感及び自己決定感の実態と関連因子の検討氏    名 石井真理子研究指導教員 村中 陽子【目的】卒後2年目看護師が認識する有能感及び自己決定感の実態を明らかにし、それらの影響要因及び職業継続意志との関連について検討することを目的とした。【方法】全国の大学病院本院79施設を抽出し研究協力が得られた26施設1,112名へ調査を依頼した。回答者344名(回収率30.9%)を分析対象者とし、無記名自記式質問紙調査法による横断的調査研究を実施した。調査内容は、内発的動機づけとしての有能感・自己決定感、影響要因として看護の専門職的自律性、組織風土、職務特性、役割経験、基本属性とした。加えて職業継続意志を設定した。【結果・考察】有能感、自己決定感は低い傾向が認められた。有能感の影響要因は、チームリーダー経験(p<.05)、職務特性の自律性(β=.344)・相互依存性(β=-.127)、伝統自由・組織活発型の組織風土(β=.150)、看護の専門職的自律性(β=.506)であった。自己決定感の影響要因は、職務特性の多様性(β=.143)・自律性(β=.286)、伝統自由・組織不活発型(β=.156)及び伝統自由・組織活発型(β=.244)の組織風土、看護の専門職的自律性(β=.305)であった。職業継続意志は低い傾向を示したが有能感と正の相関が認められた(r=.349)。以上より継続教育、職場環境のあり方を見直す必要性が示唆された。【結論】内発的動機づけは低い傾向が示されたが、チームリーダー経験、職務特性の自律性・多様性、看護の専門職的自律性、伝統自由型の組織風土により高められ、職務特性の相互依存性により低下する傾向が明らかになった。卒後2年目看護師の主体的なキャリア形成には、役割付与や看護職の有意味性を実感できる教育体制、自律性の尊重された職場環境の必要性が示唆された。職業継続意志は低い傾向が認められたが、有能感と相関が認められたことから有能感を高める必要性が示唆された。感染症看護専門看護師としての倫理調整における現状と課題氏    名 海老名昭寛研究指導教員 工藤 綾子【目的】感染症看護CNSが感染管理実践を展開していく中で、感染症患者における権利擁護としての倫理調整実践の現状と課題を明らかにする。【方法】倫理調整の現状と課題をもとにインタビューガイドを作成し、感染症看護CNS9名に半構造化面接を行った。さらに、逐語録を作成しデータを質的記述的に分析した。【結果・考察】〔複雑で解決困難な倫理問題に対する倫理調整の実践〕を多職種間で協働のもと行っていた。その際、お互いの価値観や倫理観を尊重しながら納得する、折り合いをつけるという方法をとっていた。実践後は、〔倫理調整の実践における内省〕を行っていた。さらに、〔患者、家族との直接的な関わりによる倫理調整〕を実践していたが、一方で〔患者に関わることの困難さと役割を果たせないことによる葛藤〕があった。そのため、充分なメンター制度と、感染対策室に限らず病棟配置などの就労場所の検討が求められた。 倫理調整の課題では各部署の感染分野に対する無関心さなどによる〔組織風土による弊害〕があった。感染症看護CNSの活動は、管理者や医師との調整など様々な組織に影響を及ぼすため、組織風土を生成する役割を担っているものと考えられた。また、〔倫理問題解決にむけての倫理研修への取組み〕を課題としていた。多職種間で事例検討を行うことは、異なる価値観や考え方を認識し合うことで価値観の統合が行われるものと考えられた。【結論】倫理調整の現状では、5つのコアカテゴリーが抽出された。倫理調整の実践は、多職種間で協働のもと実

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