医療看護研究会誌 第12巻1号
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平成26年度 順天堂大学大学院医療看護学研究科看護学専攻修士論文要旨68ように養育ハイリスク妊婦であると判断していくのか。その具体的な経験より得た個別的な気づきを明らかにすることから、質的記述的研究とした。【結果・考察】保健師が養育ハイリスクと判断していく過程として、時間を軸とした段階を経ることが分かった。まず、面接直前の第一印象での気づきの段階では、【妊婦に対する違和感】に関する気づきをしていた。その第一印象での気づきを基に、次の面接を通しての段階では、養育ハイリスク妊婦かどうかを示唆する気づきをしていた。この段階では【ハイリスクな妊娠の経緯】【養育に影響しかねない妊婦に関する気がかり】【養育につながる父親(パートナー)に関する気づき】【妊婦をサポートする情報の捉え】というアセスメントを深める4つのカテゴリーが抽出された。保健師は最終的な養育ハイリスク妊婦について、経済的な情報の探り、養育能力の探り、周囲のサポートの探りという3つの点から判断していた。そして家庭訪問、見守り、ネットワークの構築という支援につなげていた。【結論】保健師は母子健康手帳交付面接において、段階的に養育ハイリスク妊婦に関する気づきをしていた。まず来所した際の妊婦の第一印象、次に面接を通したやり取りの中から、養育ハイリスク妊婦について気づいていった。最終的に保健師は、経済的な情報の探り、養育能力の探り、周囲のサポートの探りから養育ハイリスク妊婦と判断し、支援の方向性を考えていた。終末期がん患者に対する退院調整のあり方の検討 ─ 退院調整看護師の支援をうけて退院した患者の家族へのインタビューから ─氏    名 丸山 正恵研究指導教員 岡本 明美 本研究の目的は、研究者らが終末期がん患者と家族に行った退院調整と退院後の患者と家族の状況を明らかにし、終末期がん患者と家族への退院調整のあり方について検討することである。4名の終末期がん患者と家族に対し、研究者は、調査施設の退院調整看護師と共に退院支援計画を立案した。研究者は、対象患者と家族への直接的な支援は行わず、調査施設の退院調整看護師が行った。対象患者が退院して1ヶ月を過ぎた頃に、家族に対し、退院後の患者と家族の状況について60分程度のインタビューを行った。インタビューで得た内容は、退院支援計画の「在宅療養に向けた課題」ごとに「退院後の患者と家族の状況」として整理した。 本研究の対象患者4名のうち3名の患者の家族は、困難に直面することなく療養生活を送っていたが、1名の患者の家族は、経済的な不安や介護者自身の時間がとれないといった困難に直面していた。 4名の終末期がん患者と家族に行った退院調整と退院後の患者と家族の状況から、終末期がん患者と家族への退院調整のあり方として、以下の示唆を得た。1.退院調整を開始する前に、終末期がん患者の今後の身体状況に合わせて介護ができる家族かどうかをアセスメントする。2.主介護者が高齢で他の家族員が介護のマネジメントを行う場合は、マネジメントを行う家族員から得た情報を主介護者にも確認してから支援する。3.終末期がん患者を介護する生活を具体的にイメージできない家族の場合は、家族の患者への思いや介護生活についての思いを確認しながら退院の準備を進められるように支援する。4.医療処置が多い終末期がん患者を介護する家族の場合は、家族が実施可能な医療処置かどうかをアセスメントし指導する。5.終末期がん患者を介護する生活に漠然とした不安を抱える家族の場合は、退院後早期に在宅療養の支援者と良好な関係が築けるよう、退院支援カンファレンス等を計画する。6.終末期がん患者のADLが低下しても患者が安楽に過ごせ、家族が介護しやすい環境が整えられるようケアマネジャーと協働する。

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