医療看護研究 24年9月 第9巻1号
31/58

順天堂大学医療看護学部 医療看護研究 第9巻1号(2012) 29 をCI装用者のQOLや満足度から評価している文献6件の概観から、CI装用者は聴取能の改善そのものや会話によるコミュニケーション力の向上、社会参加の機会の拡大等に満足を感じていた。一方でCI装用者は、期待どおりの聴取能の改善が得られないことへの落胆や、聴取能の改善により新たに「障害」を自覚する体験への戸惑い等を体験しており、音入れ以降も継続して関わることで、各人の生活の中で「新たな聞こえ」に適応する過程を支える援助の重要性が示唆された。 テーマ:プレパレーションに関する文献検討 研究者:○古屋 千晶*1 【背景】近年、「子どもの知る権利」が注目され、子どもに対しインフォームドコンセントが一般化されている。検査や処置をする際、子どもが直面する医療行為を分かりやすくありのままに説明する方法として小児看護領域では、1990年代後半から「プレパレーション」が盛んに行われている。痛みの多い処置や採血におけるプレパレーションの効果について「子どもが感じる痛みの軽減に有効」と先行研究では述べている。しかし、子ども自身がプレパレーションを受けたことをどのように感じたか、プレパレーションの効果の評価方法・評価基準に関する文献は少ない。 【目的】子どもにとって、プレパレーションの効果がどのような方法で評価されているか明らかにし、今後の課題を検討する。 【方法】医学中央雑誌Web版を利用し過去10年の文献を検索した。キーワードは「プレパレーション」「評価」で検索し効果の評価方法に関する原著論文19件を対象とした。 【結果と考察】評価方法として、1.検査や処置開始後・実施中・終了後に子ども自身が行うフェイススケール評価といった子どもの主観的評価、2.言動観察を用いた対処行動スケール、CHEOPSスコアを用いた評価といった客観的評価、3.母親からのアンケートといった家族の評価の3つが主であった。子ども自身が振り返りをする時間や意図的介入があまり行われておらず、子どもの痛みの評価ツールは、限られておりスケールを使用した研究がほとんどであった。子ども自身の言葉での表現や子どもの心の表出を促す看護介入の報告は少なく今後の課題である。 テーマ:在宅療養における終末期がん患者の家族への介入研究レビュー 研究者:○大園 康文*1 【目的】終末期がん患者が最後まで在宅療養するための家族への支援について文献レビューを行い、その結果から、家族への支援方法を明らかにし介入研究による実証に繋げる為の示唆を得る事を目的とする。 【方法】「family OR caregiver 」「home care」「end-of-life care OR terminal care OR palliative care OR hospice care」「intervention」「cancer」をキーワードとし、CINAHL・MEDLINE・医学中央雑誌のデータベースを用いて検索を行った。2011年7月現在までに出版された原著論文・総説論文を検索した。 【結果】CINAHL・MEDLINE では53件、医学中央雑誌では58件が抽出された。そのうち国外では、テレビ電話を利用した支援や終末期および症状緩和に関する家族への教育プログラムの有効性など、14件の介入研究が行われていた。国内においては、多くの文献が実態調査や事例報告であり、介入研究の文献は1件であった。しかしこれは、教育支援プログラムの開発とその妥当性の検証に止まっていた。 【考察】終末期がん患者を持つ家族介護者への支援に関する介入研究は、国外では14件程度、国内においては教育プログラムの開発とその妥当性の検討のみに止まり、介入研究にまで至っていないことが明らかになった。介入方法として、テレビ電話を用いた遠隔支援システムやアセスメントツール・教育プログラム等を開発し支援に使用する方法が、有用であることが明らかになった。 テーマ:新任保健師の肯定的体験に関する文献検討 研究者:○齋藤 尚子*1 【背景・目的】新任保健師のメンタルヘルスは悪化しており、背景には実践力低下や困難事例増加、人員削減等がある。しかし、このような要因を取り除くことは難しい。近年、健康心理学分野では、問題となる要因を取り除くだけでなく、ポジティブな要因に着目し、それを高める予防的視点が注目されている。そこで、本研究では仕事への意欲を高めるような体験を「肯定的体験」とし、これを明らかにすることで新任保健師の支援について示唆を得ることとした。【方法】医中誌webにて、「保健師」と「意欲」「やりがい」等のキーワードをかけ合わせて5年分の検索を行い、本研究の趣旨に該当する文献を分析した。また、保健師自身の声をより反映させるため、保健師向け雑誌に掲載されている新任保健師へのインタビュー記事も分析に加

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です