教育 臨地実習

臨地実習について

臨地実習とは?

臨地実習は、講義や演習で学んだ基礎的な力を活用し、看護の実践力を身に着けることを目的として行われます。看護の現場で、看護の対象者である患者さんとそのご家族、さらに住民の皆さんなどと、直接かかわりをもちます。

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順天堂大学医療看護学部における臨地実習の特徴

1年次から始まり4年次まで実習の場で学ぶようカリキュラムが構成されており、学年が進むごとに専門性が高くなっていきます。

臨地実習は、順天堂大学の医学部附属病院(順天堂医院、浦安病院、順天堂越谷病院、順天堂東京江東高齢者医療センター、練馬病院、静岡病院)を中心に、その他の病院や訪問看護ステーション、保健所、保健センターなどで行われます。

全ての附属病院には、医療看護学部の臨地実習を教育・指導する看護臨床教員(看護師)が配置されているほか、医学部の教員も連携して実習を指導します。本学部では附属病院の看護部と協働して臨地実習指導者研修会を開催するなど、病院との連携のもと、指導内容、指導体制の充実を図っています。

それぞれの学年で学ぶこと

各学年の実習
実習科目の名称 学年・単位数


1年 2年 3年 4年
前期 後期 前期 後期 前期 後期 前期 後期
看護の基本 基礎看護学実習Ⅰ 1単位
基礎看護学実習Ⅱ 2単位
ライフステージと
看護
小児看護学実習 2単位
成人看護学実習Ⅰ 3単位
成人看護学実習Ⅱ 3単位
高齢者ケアシステム実習 1単位
高齢者看護学実習 3単位
ウィメンズヘルスと
看護
母性看護学実習 2単位
助産学実習(選択) 10単位
ソーシャルライフと
看護
精神看護学実習 2単位
在宅看護学実習 2単位
公衆衛生看護学実習Ⅰ(選択) 3単位
公衆衛生看護学実習Ⅱ(選択) 1単位
医療看護の
統合と発展
統合実習 2単位

1年次は附属病院で1週間、看護の基礎を学びます。 2年次は、附属病院で受け持ち患者さんへの看護援助を行う2週間の実習のほか、高齢者介護施設での実習も行われます。 3年次の9~11月、4年次の5~6月の計5か月間にわたり、急性期看護、慢性期看護、小児看護、母性看護、高齢者看護、在宅看護、精神看護といったさまざまな看護分野の実習で、それぞれの専門的な看護を学びます。

4年次では、それまでに学んできた知識をもとにして看護の実践力を高める統合実習を行います。さらに、保健師選択・助産師選択の実習が行われます。

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臨地実習での学びについて、学生からのコメント

実習で患者さんと向き合うことは、辛いこともありますが、将来の大きな力になります。
実習での学びについて、学生から次のようなコメントが届きました。

臨地実習は1年次から段階的に学ぶことができ、患者さんとも次第に関係性を築けるようになります。
1年次、2年次では基本的な看護を学ぶことに加えて、チーム医療への意識も高まりました。3年次は、保育園や訪問看護ステーションなどでも実習が行われます。4年次は自分の興味のある分野を選択して実習し、最終日に発表やカンファレンスを行います。

特に印象深かったのは2年次の臨地実習です。
そのとき受け持った患者さんは、末期がんで余命数週間だったにもかかわらず、まだ学生の私に温かく接してくださいました。
苦しそうに呼吸しながらも、ご自身の人生を楽しそうに話していただいたことを覚えています。
容体が悪化したときは、話しかけたり手を握ったりして、自分にできる看護をしました。

実習期間の後半には寝たきりの状態から車椅子に乗れるほどまで回復されました。
ある朝の挨拶時に肩に手を置いた際、意識が不明瞭にもかかわらず『ほかの看護師さんは区別がつかないけどあなただけは分かる』と、笑顔で言ってくださったことは今でも鮮明に覚えています。

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臨地実習一覧

実習名称 実習の特徴
基礎看護学実習Ⅰ 看護職の役割と看護の対象である人間についての理解を深め、看護学を学ぶ上での素地を養う。
【対象学年】1年次
【単位/期間】1単位/1週間
【実習施設】順天堂医院、浦安病院、練馬病院、順天堂東京江東高齢者医療センター
基礎看護学実習Ⅱ 入院生活を送る患者への援助を通して、看護を系統的に実践するための基本を修得する。
【対象学年】2年次
【単位/期間】2単位/2週間
【実習施設】 順天堂医院、浦安病院、練馬病院、順天堂東京江東高齢者医療センター
高齢者ケアシステム実習 高齢者介護施設を利用する高齢者との関わりを通して、虚弱な高齢者や生活の場を知り、高齢者看護の基礎作りを行う。
【対象学年】2年次
【単位/期間】1単位/1週間
【実習施設】 介護老人保健施設、介護老人福祉施設
小児看護学実習 地域で生活する、また、入院している子どもとその家族に関わり、子どもの権利を尊重する看護を学修する。
【対象学年】3、4年次
【単位/期間】2単位/2週間
【実習施設】 順天堂医院、浦安病院、練馬病院、保育所・幼稚園・認定子ども園
成人看護学実習Ⅰ 手術を受ける患者を受け持ち、病棟・手術室・ICU等で実習し、周術期の看護実践に必要な知識や技術を修得する。
【対象学年】3、4年次
【単位/期間】3単位/3週間
【実習施設】 順天堂医院、浦安病院
成人看護学実習Ⅱ 慢性疾患で入院治療を受ける患者と家族がその人らしい人生を送るための看護援助を考え、実践する。
【対象学年】3、4年次
【単位/期間】3単位/3週間
【実習施設】 順天堂医院、浦安病院
高齢者看護学実習 入院し治療を受ける高齢者とじっくり関わり、援助技術を磨きつつ、個別性にあった看護を展開する。
【対象学年】3、4年次
【単位/期間】3単位/3週間
【実習施設】 練馬病院、順天堂東京江東高齢者医療センター
母性看護学実習 妊娠から出産後までの母と子およびその家族と関わり、新たな家族づくりをサポートする看護を学ぶ。
【対象学年】3、4年次
【単位/期間】2単位/2週間
【実習施設】 順天堂医院、浦安病院、練馬病院
在宅看護学実習 訪問看護師に同行して在宅療養者の自宅を訪問し、病気や障害を持ちながら自宅で生活する人々を支える看護について学ぶ。
【対象学年】3、4年次
【単位/期間】2単位/2週間
【実習施設】 訪問看護ステーション
精神看護学実習 病院の精神科病棟や地域の社会復帰施設、訪問看護ステーション等で、患者や利用者と関わり、支援を行いながら、精神の健康障害を持つ人々への理解を深め、その人のストレングスを活用し、退院して地域で生活し、リカバリーを促進するために必要な支援方法、資源の活用、看護職の役割、多職種や他機関との連携について学ぶ。
【対象学年】3、4年次
【単位/期間】2単位/2週間
【実習施設】 順天堂越谷病院、船橋北病院、慈雲堂病院、袖ケ浦さつき台病院、社会復帰施設、訪問看護ステーション
公衆衛生看護学実習Ⅰ*1 地域で生活する個人、家族、集団を対象に、健康の保持増進、健康問題の発生を予防する保健師実践活動を学ぶ。
【対象学年】4年次
【単位】3単位
【実習施設】 保健所、市町村保健センターなど
公衆衛生看護学実習Ⅱ*1 企業や事業所で働く人々やその家族・組織を対象に健康の保持増進、健康問題の発生を予防する保健師実践活動を学ぶ。
【対象学年】4年次
【単位】1単位
【実習施設】 企業や事業所の健康管理室など
助産学実習*2 妊娠・出産・産後の母と子とその家族を中心とした助産師活動の基盤となる能力を実践的に身につける。
【対象学年】4年次
【単位】10単位
【実習施設】 順天堂医院、浦安病院、練馬病院、静岡病院、助産所、浦安市健康センターなど
統合実習

それまで学んできた知識を統合して、看護の実践力を高める。
【対象学年】4年次
【単位/期間】2単位/2週間
【実習施設】 順天堂医院、浦安病院、練馬病院、順天堂東京江東高齢者医療センター、順天堂越谷病院など

※1 保健師の必修科目

※2 助産師の必修科目

演習・実習体験談

日常生活援助技術を実践するための基礎を学ぶ

基礎看護方法論Ⅱ

医療支援技術を実践するための基礎を学ぶ

基礎看護方法論Ⅲ

手術をうける患者さんへの看護知識・技術を習得する

成人看護学実習Ⅰ

慢性的な病気を抱える患者さんへの看護知識・技術を習得する

成人看護学実習Ⅱ

基礎看護方法論Ⅱ

日常生活援助技術を実践するための基礎を学ぶ

演習で体験する、初めての"実践"

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基礎看護方法論の演習では、シーツ交換や清拭などの生活援助を中心とした技術を学びます。学生が、看護師役と患者役に分かれて、看護師がどのような援助を行えば、患者さんの生活の質を向上させることができるか、また自立を支援することができるのかを学ぶのです。一連の演習を通じて、患者さんを尊重して理解することの大切さを学ぶことができたと思います。将来は、看護師として適切な知識や技術を実践することはもちろん、患者さんと信頼関係が築ける看護師になりたいと考えています。

学生の声

演習で見つけた楽しみ♪

演習ではナース服を着用します。初めてこの服を着たときには幼い頃から目指していた看護師になれたようでとても嬉しかったです。

基礎看護方法論Ⅲ

医療支援技術を実践するための基礎を学ぶ

基礎医学と看護技術を結びつける

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演習で印象に残っているのは、2 年次の看護技術の授業です。実習室のベッドに、人体模型を置き、病院で使用する器具を用いて実際の看護さながらに実技を学びます。その際に行った採血や注射法は人体への侵襲が大きい技術ですが、それまで学んできた解剖学や病理学などの知識を駆使して実技に応用することができました。知識の積み重ねにより、より複雑な看護技術を身に付けることができたと思います。

この経験は3年次からの分野別実習で看護を実践する際にも役立つと思います。

学生の声

改めて実感!

看護を実践する際に重要なことは、疾患について医学的に理解することと、患者さんを人として尊重し理解することを、統合して考えることだと思います。

成人看護学実習Ⅰ

手術をうける患者さんへの看護知識・技術を習得する

安全に手術を受けられるようサポートする

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『成人看護学実習I』では、術前・術後の急性期看護を中心に学びました。急性期の患者さんは身体的症状の変化が著しく、配慮すべき点が多くあるため、観察力が大いに養われると思います。

実習は、1グループ10人程度で行います。実習の進め方は、まず学内でオリエンテーションを受け、課題に沿った自己学習をしながら学内演習を行います。演習内容は、ドレーン管理、麻酔覚醒時の観察、術後離床など様々です。その後、病棟に行き、受け持つ患者さんを決定して、カルテや患者さんとのコミュニケーションを通じて情報収集をします。

周術期の看護として、術前準備や術後の看護という視点から個別性を考えて看護計画を立て、臨床指導者や先生方の指導を受けながら実施しました。

学生の声

現場だからわかった!

周術期の看護は精神的なサポートはもちろん、ご家族への心配り、術後の心構えなどを見据えて実施することが重要だと思いました。

成人看護学実習Ⅱ

慢性的な病気を抱える患者さんへの看護知識・技術を習得する

病気とともに生きる患者さんを支える大切さを実感

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糖尿病や高血圧症などの慢性疾患は、生涯にわたりセルフケアが必要になります。『成人看護学実習Ⅱ』では、そのような患者さんやご家族への看護実践に必要な知識や技術の修得を目的としています。実習中は、病態の理解、患者さんのライフサイクルやセルフケア能力など、様々な視点から全体像を把握して看護計画を立案します。

患者さんが自宅に帰っても自己管理ができるようにパンフレットを作成したところ、『これなら自分でもできる』とおっしゃって頂き、とてもやりがいを感じたことを覚えています。看護師は、患者さんと共に同じ目標に向かい、最善のケアを提供することが必要だと実感しました。

学生の声

患者さんとの触れ合いが大切!

患者さんが自宅に帰っても自己管理ができるようにパンフレットを作成しました。看護師は、患者さんと共に同じ目標に向かい、最善のケアを提供することが必要だと実感しました。

学生からのひとことメッセージ♪

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看護を学ぶ中で欠かせないのは、知識の蓄積と実践の積み重ねです。
医療看護学部では、学内演習や臨地実習などで実践力を磨くことで、将来に役立つ力を身に付けることができます!